【6月12日 Xinhua News】製造業が盛んなことで知られる中国広東省(Guangdong)仏山市(Foshan)順徳区には、巨大な「サギ天国」がある。ここではおびただしい数のさまざまな種類のサギが生息しており、毎年約2万羽のひなが生まれている。

「サギ天国」の面積は175ムー(約11・7ヘクタール)で、標準的なサッカーグラウンド16面分に相当する。今年51歳の冼銓輝(Xian Quanhui)さんは、この「サギ天国」の守り人となっている。冼さんが20年かけて心を込めて環境を整備してきたことで、ただの空き地だったこの場所は、木々が生い茂り、あちこちで鳥のさえずりが聞こえるサギの生息地となった。いつしか冼さんは、周りから「順徳の鳥おじさん」と呼ばれるようになった。

 冼さんは実は、同区の近くの農村で生まれ育った足場職人だ。足場とは、建設中の建物の外周にめぐらせて作業員の足掛かりとする骨組みのことで、かつては竹が主な資材となっていた。

 冼さんは1998年、足場の材料を調達するため、同区倫教鎮と大良鎮の境界にある約170ムー(約11・3ヘクタール)の土地を借り、竹の栽培を開始した。

 すると思いがけないことに、竹林に多くの鳥がやって来て巣を作り始めた。地元ではほとんど見ることのできないゴイサギやコサギも巣を作るようになった。

 竹を伐採すると鳥の巣を破壊する可能性があることから、冼さんは自然の状態を最大限維持するために、二度と竹を伐採しないと決断し、別の土地から5割増しの価格で足場用の竹を調達した。また冼さんは2003年、竹林に沿って幅4~8メートルの堀を築き、ガジュマルを植えて、竹林と外部を徹底的に「分離」した。

 冼さんによると、当初堀を築いた目的は、鳥を捕獲しに来る人を遠ざけるためだったが、現在はこの堀が竹林の生態を守る川となった。毎年川に稚魚や小エビを放流することでサギの餌問題を解決し、必要に応じて取水や放水もでき、徐々に林全体が湿地のような環境となり、サギの生活により適合するようになったという。

 「サギ天国」は現在、地元の小中学生の社会実践基地となっており、毎年延べ1万人以上の小中学生や自然を愛する人々が野鳥観察に訪れている。また国内外の研究者が、赤外線モニタリングシステムを設置し観測を行っている。

 同区の都市計画によると、「サギ天国」はすでに都市公園緑地システムに組み込まれているため、住宅・商業・工業の用途で利用することはできない。今後はサギをテーマとする公園になる見通しという。(c)Xinhua News/AFPBB News