【6月12日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は11日、オランダ・ハーグ(Hague)の国際刑事裁判所(ICC)によるアフガニスタンでの米軍の戦争犯罪捜査をめぐり、米兵の捜査・訴追に関わる全ICC当局者に経済制裁を科すことを可能にする大統領令に署名した。アフガン戦争犯罪捜査の打ち切りを目指し、米国は圧力を強めている。

 この大統領令に基づき、米国は米兵の捜査や訴追に関与するICC当局者全員を対象に、米国内のあらゆる所有物・資産を凍結できる。

 マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)国務長官は記者団に対し、「米国は国民がカンガルーコート(不当な裁判)に脅されるのを見過ごすことはできないし、今後も見過ごすことはない」と表明。「世界中の多くの緊密な同盟国に告げる。次(の捜査対象)は皆さんの国民かもしれない。特に、われわれと共にアフガニスタンでテロと戦った北大西洋条約機構(NATO)加盟国の人々はその恐れがある」と述べた。

 ウィリアム・バー(William Barr)司法長官は、ロシアをはじめ米国の敵対勢力が、自分たちの行動計画を推進するためICCを「操って」いると主張。詳細については言及せずに、ICCは「事実上、責任を負わない国際エリートらの利用する、政治的道具にすぎない機関と化した」と批判した。

 ICCは、ICC締約国会議の権五坤(クォン・オゴン、O-Gon Kwon)議長の名で声明を発表し、「刑を免れる行為と闘い、大勢に対する残虐行為への説明責任を徹底させる共通の取り組みを損なう」「前例のない」動きだと批判。「ICCに対する措置は受け入れられない」と述べた。

 また、欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表(外相)は「深い懸念」を表明。ICCは「全ての国から尊敬され、支持されなければならない」と述べた。(c)AFP/Shaun TANDON