■「資格による免責」

 理論的には、警察による職権乱用の被害者は連邦裁判所に訴えることができる。

 だが、連邦最高裁判所が警官に認めている「資格による免責」のために、警察を相手に望ましい判決を得るのはほぼ不可能だという。

 そのような訴訟に勝つためには、被害者は警察が「明白に確立された法律」に違反したことを証明しなければならない。

 例えば、地面に座っているところを警察犬にかまれ、訴えを起こした男性は敗訴した。示された判例が、地面に横たわっていて警察犬にかまれたケースだけだったからだ。

■1万8000の警察機関

「資格による免責」問題は間もなく最高裁で問われる可能性があるが、過度の力を行使した警官を起訴する基準を下げる法律が、連邦議会議員200人以上によって提案されている。

 また、警官の人種に対する感受性の訓練強化や、「資格による免責」を認められている警官の登録簿の作成なども提案されている。

 だが、全米に広がる自治体、郡、州などに置かれた1万8000の警察機関はどれも独自の部隊、採用基準、訓練手法、規則を持っており、問題はそれにどう対処するかだ。

 警官による不当な発砲が数件起きたことを受け、当時のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領はメリーランド州ボルティモア(Baltimore)やミズーリ州ファーガソン(Ferguson)など25の警察機関に対し、連邦捜査を開始した。

 その一部では局地的な変化が達成されたが、全国規模での問題の取り組みにはならなかった。2017年にドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が大統領に就任してからは、そのような捜査は行われていない。(c)AFP/Charlotte PLANTIVE