【6月11日 AFP】ロシアのシベリア(Siberia)地方の火力発電所から大量の軽油が川に流出した事故で、捜査当局は10日、環境法令違反の疑いで発電所の所長ら職員3人を逮捕した。汚染除去に当たる企業は、環境の浄化には何年もかかるとの見解を示している。

 事故は先月29日、北極圏の都市ノリリスク(Norilsk)郊外で金属大手ノリリスク・ニッケル(Norilsk Nickel)の子会社が運営する発電所で発生。燃料タンクの損傷により、合計2万1000トンの軽油が近くのアンバルナヤ川(Ambarnaya River)や土壌に流れ出した。環境活動家らは、北極圏で起きた史上最大の燃料流出事故だと指摘している。

 事故の経緯を調べている連邦捜査委員会(Investigative Committee)は、発電所のパベル・スミルノフ(Pavel Smirnov)所長と技術者2人を逮捕したと発表。3人は裁判で有罪となった場合、最長で禁錮5年の刑を言い渡される可能性がある。ノリリスク・ニッケル社はAFPに対し、「この措置は不当に厳しいものだ」とするニコライ・ウトキン(Nikolai Utkin)副社長の見解を伝えた。

 汚染除去に当たる国営パイプライン会社トランスネフチ・シベリア(Transneft Siberia)の幹部によると、現場近くの状況は安定しているものの、軽油流出が原因で死んだとみられる鳥などの動物の死骸が見つかった。

 同幹部は「少なくとも8日から10日間にわたり、アンバルナヤ川からディーゼル燃料を取り除く予定だ」と説明。「完全に浄化するには何年もかかるだろう」と述べた。(c)AFP/Artyom Smirnov with Andrea Palasciano in Moscow