【6月12日 AFP】スウェーデンは多くの国と異なり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)中でも企業は操業を続けるなど、一度もロックダウン(都市封鎖)を実施しなかった。それにもかかわらず、経済は大打撃を受けたようだ。

 スウェーデンの新型ウイルス対策は議論を呼んだ。ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と衛生ガイドラインを順守した上で、カフェやバー、レストラン、大部分の企業と16歳未満を対象とした学校は通常通りだったからだ。

 こうした政策が経済的打撃を和らげるという期待はあったかもしれないが、それはいまや打ち砕かれたようだ。

 スウェーデンの大手銀行SEBでエコノミストを務めるオーレ・ホルモグレーン(Olle Holmgren)氏は「世界の多くの国と同じく、今年のスウェーデン経済の第2四半期は記録的な減少となるだろう」と述べた。

 ホルモグレーン氏は、景気回復は今年後半となる見込みだが、「経済が元の状態に戻るまでには、長い時間がかかるとわれわれは予測している」とAFPに語った。

 スウェーデンは、同国の新型ウイルス対策は公衆衛生を目的としており、経済救済は目的としていないと一貫して主張してきた。つまり感染が拡大しても医療施設が対応できる状態を維持し、高齢者やリスクが高い人々を保護するという考えだった。

 ただ、前者には成功したものの後者には失敗したことを同国は認めている。新型ウイルスによる死者の4分の3以上が、介護施設の入居者や在宅ケアを受けている人だった。

 スウェーデンのマグダレナ・アンデション(Magdalena Andersson)財務相は5月末、「われわれが新型ウイルス対策の方針を決めた時、経済対策については考慮しなかった」と記者団に語った。

 人口1030万人のスウェーデンの今月5日時点での、新型ウイルスによる死者数は4639人だった。100万人当たりの死者数は459.3人で、厳格な封鎖措置を行った近隣のデンマークの4倍以上、ノルウェーの10倍以上と、世界で最も死亡率の高い国の一つとなっている。