【6月10日 AFP】ブラジル政府は5日を最後に取りやめていた新型コロナウイルスの累計死者数の公表を、9日に再開した。ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)政権は新たな方法を導入するなどとして累計データの開示を取りやめたものの、深刻化する感染拡大の規模を隠蔽(いんぺい)しようとしているとの批判を招いていた。

 データ開示取りやめをめぐっては多くの専門家らから批判が上がり、最高裁のアレシャンドレ・ジモラエス(Alexandre de Moraes)判事は8日、 従来の公開方式に戻すよう政府に命じた。

 これを受け保健省は9日、死者の累計が1272人増えて3万8406人になったと発表。この数は米英に次ぐ世界3番目で、累計感染者数は最多の米国に次ぐ73万9503人となっている。

 ブラジルの人口は2億1000万人以上で、検査数が少ないために実際の感染者数ははるかに多いと専門家らは見ている。

 AFPは保健省に公表再開の理由と今後の意向について回答を求めたが、返事は得られなかった。

 ボルソナロ氏はこれまで新型コロナウイルスを「軽いインフルエンザ」だと主張。封鎖措置が不必要に経済を崩壊させているとして感染拡大への対応を強く非難しており、5日には「イデオロギー的な偏向」があるとして世界保健機関(WHO)からの脱退を示唆している。(c)AFP