デモでの高齢者負傷は極左の自作自演? トランプ氏が「陰謀論」
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【6月10日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は9日、ニューヨーク州バファロー(Buffalo)で先週、デモに参加した男性(75)が警官に押されて転倒し、頭から出血するけがをした事件は極左の扇動者による自作自演だとほのめかした。
トランプ氏はツイッター(Twitter)に、「私は、彼が押されたよりも激しく倒れたのを見た。スキャナーを狙ったものだ。仕組まれていた可能性があるのではないか?」と書き込んだ。
この事件では、ヘルメットと防具を身に着けて進んできた警官らの列に近づいたマーティン・グジーノ(Martin Gugino)さん(75)が警官に突き飛ばされ、後ろに倒れた。現場の動画には身動きせず地面に横たわったグジーノさんの頭の下に血がたまっている様子が捉えられていた。関与した警官2人が暴行の容疑で訴追された。グジーノさんはまだ入院している。
トランプ氏は「スキャナーを狙ったものだ」の他、グジーノさんは「装備をブラックアウトさせるために警察のコミュニケーションをスキャンしていた」とも書き込んだが、これらの表現の意味するところは明らかではない。
トランプ氏は、陰謀論専門の右派テレビネットワークでホワイトハウス(White House)のお気に入りになっているOANNが伝えたリポートを見てこのツイートを書いたとみられる。
このリポートでOANNは、「極左グループ、アンティファ(Antifa)の偽旗挑発」という見方を強調し、「新たに公開された動画」でグジーノさんが自分の電話を使って「警察のコミュニケーションをスキャンしようとしていた」と伝えていた。
動画にはグジーノさんが右手に携帯電話を持っている様子が映っていた。米国では、警察無線を受信するポリス・スキャナーと呼ばれるアプリは完全に合法で、広く使われている。
この動画は警察による残虐行為への抗議が各地に広がっている米国で国民の怒りの火に油を注いだ。
トランプ氏のツイートを受け、11月の大統領選でトランプ氏の対立候補となる民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領は、「私の父は権力乱用ほど大きな罪悪はないとよく言っていた。それが平和的なデモ参加者を出血させる警官であっても、テレビで陰謀論を見てその警官を擁護する大統領であっても」とツイッターに投稿した。(c)AFP