【6月10日 AFP】ファンタジー小説「ハリー・ポッター(Harry Potter)」シリーズを手掛けた英作家J・K・ローリング(J.K. Rowling)さんのツイッター(Twitter)投稿が、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人々に嫌悪的だと批判されていることを受け、同シリーズの映画化作品で主演を務めた英俳優ダニエル・ラドクリフ(Daniel Radcliffe)さんは8日、気分を害したファンに謝罪した。

 ローリングさんは先週末、新型コロナウイルス流行下での月経管理に関する記事について投稿。記事中の「月経がある人」との文言を引用し、「以前はこの人たちのことを指す言葉があったはず。誰か手を貸して。ウンベン? ウィンパンド? ウーマッド?」と、女性を意味する「ウィメン」を思わせる言葉を並べてコメントした。

 ローリングさんへの批判を受け、ラドクリフさんは性的少数者(LGBTQ)の自殺防止活動を行う米NGO「トレバー・プロジェクト(Trevor Project)」のウェブサイト上で声明を発表。「トランスジェンダー女性は女性だ」と明言し、「そうではないとする発言は、トランスジェンダーの人々のアイデンティティーや尊厳を抹消し、この問題についてジョー(ローリングさんの名前ジョアンヌを略したニックネーム)や私よりもはるかに多くの専門的知識を持った専門医療機関によるあらゆる勧告に反するもの」と続けた。

 ラドクリフさんはさらに「ハリー・ポッター」シリーズの読者に対し、「本の体験が汚されたり、傷つけられたりしたと感じている全ての人へ。これらのコメントが苦痛を引き起こしたことを深くおわびします」と謝罪した。

 ローリングさんは批判に対し、ツイッター上で激しく反論。「トランスの人全員が持つ、自分に偽りなく快適な生活を送る権利を尊重する」と述べ、「あなたがトランスであることを理由に差別されたら、私はあなたと一緒に行進する。同時に、私の人生は女性であることによって形作られた。そう口にすることは、憎悪ではないと思う」と主張した。

 ローリングさんは昨年12月にも、トランスジェンダーの人々は生物学的な性別を変えることはできないとツイッターに投稿して失職した研究者を擁護し、トランスジェンダー嫌悪だとして非難されていた。(c)AFP