【6月20日 AFP】建築界で最高の栄誉とされるプリツカー賞(Pritzker Architecture Prize)受賞者の坂茂(Shigeru Ban)氏(62)。被災地での紙管を使った仮設の居住空間の設計でも知られる同氏は、世界は新型コロナウイルス流行下での自然災害への対処法を考えておく必要があると話す。

 坂氏のチームは、避難所の間仕切りを開発した。頑丈な紙管のフレームに長さ2メートルあまりの布を床まで垂らすと、仕切られた空間が生まれる。

 東京の事務所からAFPの取材に応じた坂氏は、避難所は密集状態になるが、避難所の設営が「数日間遅れると手遅れ」になると訴えた。

 大地震が発生したら、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)は事実上不可能になるため、政府や自治体は避難所の人口密度を下げるための案を今のうちに考えておく必要があると坂氏は言う。

 政府と地方自治体は新型コロナウイルス感染症の対処に忙殺され、地震発生時の対応について協議するようになったのはつい最近のことだと坂氏は指摘。簡単にいかないことは分かっているが、考えておかなければならないと続けた。

 坂氏は3月、仏パリに行くため空港に向かおうとしていたところ、新型ウイルスのピークにあった同市でロックダウン(都市封鎖)が実施されると聞き、急きょ、引き返した。以来、仕事に没頭し、都内で自宅から5分歩いた先にある自身の事務所まで週7日通う生活を送っている。

「1か月以上日本にいたのは16年ぶりくらいなので、日本の春の移り変わりの美しさに非常に感動しています」と坂氏。

「僕は仕事以外しないです。趣味もないし。特に今みたいな状況だから何かやっているということはないです」「ですから週末も含めて毎日事務所にいます」とAFPに語った。