【6月9日 AFP】イングランド・プレミアリーグ、マンチェスター・シティ(Manchester City)のFWラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)は8日、世界中に広がっている人種差別への抗議活動に乗じ、サッカー指導者のトップに黒人の代表が不足している現状の解決策を見つけるべきだとイングランドサッカー界に求めた。

 英国では人種的平等を求めて多くの人が抗議活動を行っており、アフリカ系米国人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官の拘束下で死亡した事件を発端とするデモの輪に加わっている。

 これまでも国内外のサッカー界にはびこる差別に対して積極的に声を上げてきたスターリングは、他のスター選手に続いて抗議活動を支持している。

 イングランド代表のスターリングは、英BBCのインタビューで「抗議活動は自分の声を届けるための素晴らしい出発点だが、ただ抗議するだけではこの国に変化はもたらさないだろう」「今はこうした問題や不正について話すとき。特に僕らの業界は」と語った。

 スターリングは、黒人やアジア人、少数人種のスター選手の数に対し、そうした選手が監督やコーチ、管理職で重要なポジションに就けているケースが少なく、ずっと以前から不均衡が生じていると批判している。

「プレミアリーグには約500人の選手がいて、その3分の1が黒人だ。それなのに、権力層には僕らを代表する人がいないし、指導者の中にも代表となる存在がいない。共感したり、会話したりできる相手は多くない」

 スターリングはまた、それぞれグラスゴー・レンジャーズ(Glasgow Rangers)とチェルシー(Chelsea)の指揮官になったスティーブン・ジェラード(Steven Gerrard)監督とフランク・ランパード(Frank Lampard)監督の指導者キャリアを、同じだけの経験を積んできたにもかかわらずかなり下のレベルからのスタートを余儀なくされた元黒人選手のものと比べた。

「世界の監督に目を向けてみると、スティーブン・ジェラードやフランク・ランパード、ソル・キャンベル(Sol Campbell)、アシュリー・コール(Ashley Cole)がいる。全員が素晴らしいキャリアを持ち、イングランド代表でプレーした」

「彼らは最も高いレベルで指導するため、いずれも適切に指導者ライセンスを取得したが、黒人の2人はふさわしい機会を与えられていない」

「変化とは、議会や自分のチームの権力層、国内のクラブ、イングランド代表の関係者に意見できる状況になることだ。そうすることで、変革を実行し、黒人の監督だけでなく他の人種の人にも平等のチャンスを与えられるようになる」

「それこそが今欠けているものだと思う。ただ膝をつくだけでなく、人々にふさわしい機会を与えることが重要だ」 (c)AFP