【6月9日 People’s Daily】「あの工事は、生涯忘れられない一大プロジェクトですね」

 中国の建設会社「中国建築第三工程局」の陳華元(Chen Huayuan)会長は、新型コロナウイルスがまん延した中国湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)で、専用病棟の火神山病院と雷神山病院を突貫工事で建設した日々を昨日のように思い出す。不眠不休で工事を進めたあの十数日間の日々はまさに、人々の命を奪おうとする「死に神との闘い」だった。

 武漢市の都市封鎖が始まった1月23日、陳会長は1000床のベッドを収容する火神山病院を建設するよう武漢市から指示を受けた。さらに2日後には、1300床のベッドを収容する雷神山病院建設の指示も。この非常時における指示は、いわば「軍令」だ。しかも完成までに与えられた期間はわずか10日だった。

「この規模の感染症病院を建てるには、10万平方メートルの土地は必要だ。何より通常なら完成まで2年はかかる。それを10日間で!」

 折しも今年の中国は1月25日から春節(Lunar New Year、旧正月)休暇が始まり、労働者は故郷に帰る時期。この状況で、高度な技術が必要な感染症の専門病棟を短期間で建設する。陳会長はとてつもなく重い荷物を背負わされた感覚に襲われた。

 しかし陳会長は分かっていた。「これは命を救うためのプロジェクトだ」。湖北省の人々、中国全土、全世界が注目している中、一分一秒の遅れも許されない。「代償を求めず、困難を恐れず、闘いに勝利するため全員が出動する時だ」。陳会長は緊急会議を開いて計画を立案し、物資の調達、実地調査、輸送ルートの確立などを決定。指示を受けた当日から工事を始めた。

 火神山病院は10日後に完成し、雷神山病院も12日間で引き渡した。陳会長と建設従事者たちは奇跡とも言える「中国式スピード」を実現した。「私たちはみな毎日の睡眠は2時間程度で、工事現場で寝食を共にした。常に心に火がついた状態で、寝ようと思っても寝られなかった」

 感染症がおおむね収束した4月15日まで、火神山病院は累計3059人、雷神山病院は2011人の患者を受け入れた。両病院の治癒率は97%に達し、ウイルスを克服する闘いで重要な貢献を果たした。

「困難な局面を前に一致団結したことが、中国式スピードを実現する原動力となった」

 全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の代表でもある陳会長は5月に開かれた全人代で、火神山病院と雷神山病院の建設・運営状況について、そう報告した。平時と戦時を一体にとらえる「平戦結合」の理念により短期間での病院建設を実現したと強調し、今後も社会の防疫能力を高めていくことを提案した。(c)People's Daily/AFPBB News