【6月8日 AFP】インド西部マハラシュトラ(Maharashtra)州の自然保護当局は7日、過去に3人の命を奪ったとされる野生のトラを死ぬまで飼育下に置くと発表した。2018年に捕獲した後、自然に戻す試みを何度か行ったが、そのたびに人里近くに戻ってきてしまったため、自由にさせるのは「危険すぎる」と判断したという。

 この雄トラは2018年、マハラシュトラ州から中部マディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州のベトゥル(Betul)まで500キロ以上を移動し、少なくとも3人を殺害したほか、牛を襲ったとみられている。地元メディアは「放浪トラ」「流浪のトラ」などと報じていた。

 トラは2018年12月に捕獲され、2か月後に追跡用の首輪を装着されて自然に戻された。だが、トラ保護区や国立公園に放つたび迷い出ては、人里近くで狩りをしたり家畜を襲ったりして住民を危険にさらしたという。

 トラは6日、麻酔銃を使って捕獲され、マディヤプラデシュ州の州都ボパール(Bhopal)にある動物園に移送された。

 同州の自然保護当局者はAFPの取材に、「何度か自然環境に戻る機会を与えたが、このトラには人家に近づいていく習性があった」「トラと人の両方の安全を確保するためには、トラを飼育下に置くしかない」と説明した。

 ボパールのバンビハール国立公園(Van Vihar National Park)によると、トラは現在1頭だけ隔離された状態にあり、後日、動物園で公開するか柵で囲まれたサファリパークで放し飼いにするかを決定するという。

 インドには世界のトラの約7割が生息する。インド政府の統計によれば、2014~19年にトラに襲われて死亡した人は200人以上に上る。(c)AFP