【6月9日 CNS】2018年秋、結婚登記を行い、披露宴を開くため、婚約者の実家がある四川省(Sichuan)楽山市(Leshan)にやってきた胡娟さん(仮名)は、そこで衝撃的な話を聞かされる。役所の職員が見せた婚姻システムには、胡さんがすでに別の男性2人と婚姻関係にあり、重婚状態であることが示されていた。

 データによると、胡さんの過去2回の結婚は、いずれも自身の地元・河北省(Hebei)邯鄲市(Handan)の民政局で登記したものだった。胡さんと婚約者はすぐに邯鄲市の民政局婚姻登記所を訪れ、同所の職員からも胡さんがすでに2回結婚しており、しかも、その2回の婚姻はいずれもいまだに存続中で有効であることを知らされた。

 婚姻登記審査処理表には、1人目の「夫」は孟で、婚姻登記日は2003年12月15日、2人目の「夫」は韓で、婚姻登記日は2004年1月7日と書かれていた。記録上の「妻」の名前と身分証明書番号は胡さんのものだったが、貼られていた写真は別人で、署名も胡さんの筆跡とは違っていた。

 胡さんは写真が本人と明らかに違うことを理由とし、婚姻登記所に対してこの2回の婚姻を抹消するよう要求したが認められず、裁判で解決するよう求められた。

 胡さんは自身が「結婚させられた」経緯を明らかにするため、自身と同郷の「夫」を探し当てた。2人の「夫」は協力的で、彼らも胡さんと早く「離婚」することを望んでおり、それぞれ証明書を作成してくれた。

 1人目の「夫」の孟さんは、証明書の中で「2003年12月15日、私と妻である張は結婚登記をするとき、妻の年齢が法定年齢に足らなかったため、村の幹部にお願いをして一緒について行ってもらった。結婚後、私と妻は仲良く暮らしており、胡さんと結婚したり一緒に生活をしたりしたことはありません」と書いている。

 2人目の「夫」の韓さんも、「私と妻の蘇は、2004年1月7日に結婚登記をする際に、妻の年齢が足りていなかったため、村の幹部に登記手続きを委託し、完成した結婚証明を見たら、記録上の妻の名前が胡さんになっていた。胡さんとは見ず知らずの関係だ」と主張した。

 胡さんは2019年、邯鄲市永年区民政局を裁判所に訴え、2人の「夫」間の結婚登記を無効とするよう求めた。

 邯鄲市永年区人民法院は審議の結果、中国の「行政訴訟法」の規定に基づき、原告が訴訟を行った時点で、本件で訴えられた行政行為は実行日から数えて5年を経過しているため、原告の起訴は法定条件を満たさないとし、胡さんの訴えを退けた。胡さんは控訴したが、邯鄲市中級人民法院は2019年12月、控訴を棄却、元の判決を支持した。

 自身のこの不可思議な境遇について、胡さんは「この件はすでに2年近く時間が経過しており、私の生活と仕事に深刻な影響を与えているので、一日も早く解決することを望んでいます」と語った。(c)CNS-中国青年報/JCM/AFPBB News