【6月8日 Xinhua News】中国新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)ジュンガル盆地の東部では、6月に入っても草が茂らず、熱く乾いた風が広々としたゴビ砂漠を吹き抜けている。

 同自治区カラマイリ山有蹄(ゆうてい)類野生動物自然保護区監視員のアダビヤトさんは「雪が解けてから、まだ雨が十分に降っておらず、動物は大変な生活を強いられている」と語った。彼はスタッフ3人と共に給水車とピックアップトラックで広大な荒野に入り、野生動物が必要としている飲料水を「配達」している。

 面積が1万平方キロ以上の同保護区には、自然にできたくぼ地や人工的に建設された貯水池など、野生動物の主要な水源地が約60カ所ある。監視員がパトロールの際に、保護区南西エリアにある10カ所余りの水源地が干ばつの影響を受け、深刻な水不足が生じているのを発見した。同エリアはモウコノウマやアジアノロバ、コウジョウセンガゼルなどの野生動物の生息地でもある。

 カラマイリ山有蹄(ゆうてい)類野生動物自然保護区管理センターは3月末、枯渇した水源地に対する緊急給水実施を決定した。

 ピックアップトラックの先導の下、大型タンクを搭載した給水車が荒野を1時間余りかけて進み、小高い山の麓に自然に形成されたくぼ地である33号水源地に到着した。監視員は給水車の運転手と協力して直径20メートル余りの水源地に給水を行い、タンクに入っていた16トンの水を30分かけて注いだ。

 2台の車が水源地を離れると、1頭のモウコノウマが待ちきれずに水源地に近づき、一心不乱に水を飲んでいた。

 3日現在、同保護区は野生動物の水源地に対し1709トンの給水を行っている。

 同自然保護区はモウコノウマやアジアノロバ、コウジョウセンガゼルなど希少種や絶滅危惧種の有蹄(ゆうてい)類野生動物と生息地の保護を行う野生動物型自然保護区で、1982年に設立。保護区内のモウコノウマの個体数は240頭に達している。また、中国科学院新疆生態・地理研究所の楊維康(Yang Weikan)研究員率いるチームが2018~19年に実施した調査によると、保護区内のアジアノロバの個体数は3千頭余り、コウジョウセンガゼルの個体数は1万頭近くに達している。(c)Xinhua News/AFPBB News