【6月8日 AFP】テニスの四大大会(グランドスラム)を制した最後のフランス出身男子選手であるヤニック・ノア(Yannick Noah)氏が、白人が人種差別に「沈黙」を決め込んでいることを批判した。

 米国で黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警官に押さえつけられて死亡する事件が起こって以降、警察の暴力と差別に対する抗議が世界各地で起こっている。

 しかし、カメルーン人の父親とフランス人の母親を持つ60歳のノア氏は、テニスのガエル・モンフィス(Gael Monfils)やジョーウィルフリード・ツォンガ(Jo-Wilfried Tsonga)、サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)を制した同胞のキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)の姿勢を称賛する一方で、国内で声を上げるのが黒人選手ばかりなのを心配している。

 1983年の全仏オープン(French Open)を制しているノア氏は、テレビ局のフランス2(France 2)で「若者たちが関わろうとしているのは良いことだが、気になるのは全員が混血系や黒人だということだ」と話した。

「いったいどういうことだろう。誰もが意識すべき非道なのに。警察のみなさんは基本的にとても頑張っていると思うが、中には腐ったリンゴもある」

 そして、フランスの白人スポーツ選手も抗議に加わることが重要だと話し、「確かに彼らが沈黙を決め込んでいるのは気になるが、それだけじゃない」とコメントした。

「われわれ黒人が、不正義に対してすぐ声を上げるのは安心する。非道な行為はそこかしこで起こっている」「しかし中には、これが自分たちの未来だと分かっているのに、その世界で生きたくないと考える若い世代の白人もいる」 (c)AFP