【6月7日 AFP】バングラデシュで暮らすイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の難民のうち、新型コロナウイルスに感染した人々が、ベンガル湾(Bay of Bengal)に浮かぶ島へ移送されることを恐れ、隔離から逃れていることが分かった。ロヒンギャの指導者たちが4日、明らかにした。

 この指導者たちによると、ロヒンギャ難民から初めて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死者が報告された2日以降、新型ウイルスに感染した難民少なくとも2人が検査で陽性反応を示した後に行方不明になっているという。

 バングラデシュの国境地帯にある複数のキャンプで暮らすロヒンギャ難民約100万人は、そのほとんどが2017年のミャンマー軍による弾圧から逃れてきた。そして新型コロナウイルスが、彼らに新たな窮状をもたらしている。

 これまでに確認された感染者数はわずか29人だが、約1万6000人がキャンプ内の隔離エリアにいる。

 キャンプ内の検査実施件数は現時点では不明だが、保健当局幹部によると、検査で陽性反応を示した2人が「隔離病棟から逃れた」という。

 また、難民たちは感染者がベンガル湾に浮かぶブハシャンチャール(Bhashan Char)島へ移送されると信じていることから、過去2日間でわずか20人しか検査を受けることに合意しなかったという。

 これについて指導者のヌルル・イスラム(Nurul Islam)氏はAFPに対し、「大規模なパニックを生み出している」と話した。

 バングラデシュ当局はブハシャンチャール島に10万人を収容できるキャンプを設置することを長らく望んでおり、これまでにロヒンギャ難民306人を移送している。

 匿名で取材に応じた保健当局者は、「ロヒンギャたちはすくんでいる」「われわれは彼らに対してどこにも移送されないと伝えている」と話した。

 複数のロヒンギャ人指導者たちはまた、ブハシャンチャール島に難民306人が移送されたことが、感染者は誰でも合流させるために移送されるとのうわさを招いたと指摘。

 指導者の一人であるアブ・ザマン(Abu Zaman)氏は、ウイルス検査を受けることを人々は恐れていると語った。(c)AFP