【6月7日 People’s Daily】「ここ数年、私のふるさとは困難を克服しながら、貧困脱却に努めた。生産基盤を整えて創業し、ミャオ刺繍(ししゅう)を発展させ、人々は幸せを感ずるようになっている。民族文化も発展し、生活はまずまずの水準になった」と語るのは、中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の代表である石麗平(Shi Liping)さん。石さんは貴州省(Guizhou)松桃(Songtao)ミャオ族自治県の梵浄山ミャオ族文化観光産品開発有限公司の責任者。5月22日午前、「ハトノキ」のミャオ刺繍をあしらった服を着て、人民大会堂内で記者の質問に答えた。

 ミャオ刺繍は中国のミャオ族の間で伝承されてきた刺繍。あでやかで美しく、ふるさとの味わいがある。芸術性も高い。だが、かつては少数の人々が家内工業で生産していたことから、生産量は限られていた。

 だが、石さんはミャオ刺繍職人の7代目として、どうすればミャオ刺繍を発展させられるかを考え続けてきた。西暦2000年から8年かけ、石さんは3万里(1万5000キロ)以上を歩いて資料を集め、2008年12月、「松桃ミャオ刺繍」チームを立ち上げた。メンバーは当初、3人だったが、いまでは4000人以上になった。中には失業した女性労働者、留守を預かる女性、帰郷した出稼ぎ労働者もいる。

 石さんが着ている「ハトノキ」をあしらった服は、石さんが伝統的な「ハトノキ」のデザインとミャオ族の文化、そして現代的な要素を融合させて作ったもので、67か国・地域で売れた。

 石さんによれば、貴州省では188万人が山地を離れて都市部に出、新しい生活を送っている。「私は移住先に100の工房をつくり、刺繍で6000万元(約9億2000万円)以上を稼ぎ、4000戸余りに就業させた。『移住して職に就き、徐々に豊かになる』を実現したのだ。現在、松桃ミャオ刺繍で貴州では50数万の女性が就業している」と石さん。最後に「皆さんに貴州を見に来てもらいたい。民族文化の魅力を味わい、貧困を脱却して豊かになった喜びを分かち合いたい」と語った。(c)People's Daily/AFPBB News