【6月6日 AFP】ドイツ検察当局は5日、2007年に当時3歳で失踪した英国人女児マデリン・マクカーン(Madeleine McCann)ちゃんを殺害した疑いが掛けられているドイツ人容疑者(43)が、同国内で起きた別の女児の失踪事件にも関与している可能性があるとみて捜査を進めていると明らかにした。

 ドイツ警察は今週、この事件をめぐって容疑者の取り調べを行っていると発表。10年以上謎に包まれていたこの事件に、ようやく解決の兆しがみられたと期待が持たれた。「マディー」の愛称で呼ばれていたマデリンちゃんは2007年5月3日、ポルトガル南部アルガルベ(Algarve)の海沿いにあるリゾート地プライアダルス(Praia da Luz)で失踪した。

 ドイツのザクセン・アンハルト(Saxony-Anhalt)州シュテンダール(Stendal)検察当局は地元紙フォルクスシュティメ(Volksstimme)に対し、2015年に同州シェーネベック(Schoenebeck)で当時5歳のインガ(Inga)ちゃんが失踪した事件にも同容疑者が関与している可能性があるとみて、現在捜査を進めていると明らかにした。インガちゃんは、家族と外出中、森の中に何の形跡も残さず姿を消した。

 白人の男でブロンド、短髪の同容疑者は、独メディアにクリスチャン・B(Christian B)と呼ばれており、児童虐待やレイプなどの性犯罪歴がある。フォルクスシュティメ紙によると、同容疑者はインガちゃんが行方不明になった地域に不動産を所有しており、インガちゃんが失踪した当時にも同地域にいたことが分かっている。また、警察によれば、同容疑者は、マデリンちゃんが失踪したポルトガル・アルガルベに1995〜2007年に住んでいた。

 AFPが確認したドイツの連邦通常裁判所(BGH)の文書によると、同容疑者は現在、麻薬密輸の罪で収監されているが刑期の3分の2を終えており、保護観察付きの仮釈放を認めるかどうか審理が行われようとしている。だが、この審理は、マデリンちゃんが失踪したのと同じ場所、ポルトガルのプライアダルスで2005年に同容疑者が米国人観光客(当時72)をレイプした事件の行方に左右されることとなる。

 ニュース週刊誌シュピーゲル(Der Spiegel)は5日、同容疑者と友人の間で2013年に交わされたぞっとするような会話内容を公開。

 正式の調書から抜粋された内容によると、クリスチャン・B容疑者は友人に対し、「何か小さいものを捕まえて、何日もぶっ通しで使い続けたい」と話し、それは危険だと友人が返答したのに対し、「ああ、その証拠を後で破壊するとしたら」と返したとされている。(c)AFP/Femke COLBORNE with Thomas CABRAL in Praia da Luz, Portugal