【6月5日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の元最高経営責任者(CEO)であるバーニー・エクレストン(Bernie Ecclestone)氏は、古豪ウィリアムズ(Williams)の名前がグリッドから「失われるのはひどいことだ」との認識を示し、同チームの売却先を探していると明かした。

 現在のウィリアムズは、創設者のフランク・ウィリアムズ(Frank Williams)氏の下で1980年代から1990年代に築いた黄金時代が遠い過去のものとなっている。この時代にはネルソン・ピケ(Nelson Piquet)氏、ナイジェル・マンセル(Nigel Mansell)氏、アラン・プロスト(Alain Prost)氏といった世界王者を輩出した。

 しかし、チームがタイトルを獲得したのはコンストラクターズ選手権では通算9度目、ドライバーズ選手権では通算7度目の優勝を果たした1997年が最後。フランク氏は現在もチーム代表にとどまっているが、日々の運営を行っているのは娘のクレア(Claire Williams)副代表で、昨季はコンストラクターズ選手権でわずか1ポイントにとどまるなど、徐々に下降していた成績もついに底まで落ちてしまった。

 前週にはウィリアムズ・グランプリ・ホールディングス(WGPH)が、2019年度の決算で1300万ポンド(約17億2900万円)の損失を記録したと報告し、新しい投資家を求めることで打撃に対応する方針を示した。チームは少数株式、あるいは買収オプションを含む過半数株式の売却を投資家に提案することになっている。

 こうした状況を受けて、エクレストン氏は実際に買い手候補を探していると明かし、スイスの自宅で応じたAFPの電話取材で、「ウィリアムズは大きな損失になる。100パーセントだ」とすると、「チームに関われるかもしれない人々を探し回っているところだ」と述べた。

 その一方でエクレストン氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による経済悪化が深刻とみられている中で、状況はさらに厳しくなる可能性を認め、「チームを所有するのは、かなりの出費を伴う趣味だ」と語った。

 89歳にして数週間後に4人目の子どもが誕生する予定のエクレストン氏は、78歳のフランク氏とは1974年にF1製造者協会(FOCA)の共同設立者となるなど旧知の仲で、ウィリアムズには何としても新しいオーナーが必要だと主張した。

 興行主を務めた数十年間でF1を巨大市場に成長させたエクレストン氏は、「これがウィリアムズの最後にならないことを願っている」「一時代の終わりになるかもしれないが、チームを適切に運営するための資金を持つ人が見つかることを願っている。このようなチームが失われるのはひどいことだ」と述べた。

「そんなことは考えられない。親愛なるフランクはチームをレースに出場させるために懸命に努力し、それを実現してみせた。それが今はこんなふうに消滅しかけているなんて、良くないことだ」「これは歴史的なチームなんだ」 (c)AFP