【6月4日 AFP】全米が白人警官の暴行による黒人男性死亡事件への抗議デモに揺れる中、アイオワ州の共和党予備選で連邦下院の議席を18年間守ってきた白人至上主義者とされる現職議員が敗退し、かつて人種差別をめぐって暴動が起きたミズーリ州ファーガソン(Ferguson)では黒人初の市長が誕生した。米社会の変化の兆しといえるかもしれない。

 米国では先週、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で非武装の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察に拘束された際、首を膝で押さえつけられ死亡。全米で抗議デモが激化している。

 こうした中、数々の人種差別的な発言で知られるアイオワ州選出のスティーブ・キング(Steve King)下院議員(71)は2日夜、11月の米連邦議会選挙に出馬する共和党候補を決める予備選で、党主流派の支持を獲得した対立候補のランディ・フィーンストラ(Randy Feenstra)州議員に敗れた。

 アイオワ州は1994年から共和党の牙城。キング氏は、下院議員の立場を利用して排外主義や扇動的な主張を広めてきた。その点で、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領やその特徴である政治的ナショナリズムの台頭を大いに予兆する存在だった。

 2019年には「白人国家主義者、白人至上主義者、西洋文明──なぜ、これらの言葉が攻撃的とされるようになったのか?」と発言し、物議を醸した。

 一方、6年前に非武装の黒人青年マイケル・ブラウン(Michael Brown)さんが白人警官に射殺され、数週間にわたり激しい抗議デモが続いたミズーリ州ファーガソンでは、黒人女性のエラ・ジョーンズ(Ella Jones)氏(65)が、黒人として初の市長に当選した。ブラウンさんの事件は、「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」を訴える運動が広がるきっかけの一つとなった。

 ジョーンズ氏は、「今こそ私たちの時代だ」「まさに私が人々のために正しいことをするべき時だ」と地元紙セントルイス・ポスト・ディスパッチ(St. Louis Post-Dispatch)に語った。(c)AFP