■放射能に汚染された井戸水

 ニキシア・アンソニー(Nikishia Anthony)さん(25)はボーイフレンドとその家族と共に、ナバホ・ネーションの中心部で標高7500フィート(約2300メートル)の場所にある緑豊かなホワイトクレイ(White Clay)に住んでいる。

 ある春の日、アンソニーさんはこの地域で活動する団体の一つである米ジョンズ・ホプキンス・センター・フォー・アメリカンインディアン・ヘルス(Johns Hopkins Center for American Indian Health)から水などの物資を受け取った。

 アンソニーさんはこの水を、この間生まれたばかりの赤ちゃんの哺乳瓶を洗ったり、ミルクを作ったりするのに使うと話す。

 アンソニーさんの家族は、厳しい冬の間は洗濯や食器洗いには雪を使っている。雪が使えない時は、家から約1マイル(約1.6キロ)離れた風力ポンプでくむ井戸に頼っている。しかしくむのに時間がかかる上、新型ウイルスの流行以降は複数の家族が利用するようになったため、長時間並ばなければならなくなった。

 この地域には風車が点在している。しかし、このような井戸水は避けた方がいい別の理由が存在する。521か所のウラン鉱山が放置された結果、微生物だけではなく時には放射能で汚染されていることさえあるためだ。

 こうした井戸水はいまだに家畜用の水として使われており、最終的には人間の口に入ることになる。(c)AFP/Issam AHMED