【6月4日 AFP】米ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)は「ミニアップル」と呼ばれることがある。人種的多様性に富むこの都市には数多くの美術館と博物館があり、音楽や演劇が盛んでにぎやかなナイトライフも存在していることから、同じく文化的にとてもアクティブで「ビッグアップル」の愛称を持つニューヨーク市にその雰囲気が似ているとされているのだ。

 だが、アフリカ系米国人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察に拘束され死亡した事件は、この市にも「人種間の不平等」が根深く残っていることを人々にまざまざと見せつけた。

 ミュージシャンの故プリンス(Prince)さんのホームタウンでもあるミネアポリスは、他者に対してのオープンさ、湖と自転車向けトレイルのある環境に優しい生活スタイル、そして「進歩的な政治」を自らの大きな誇りにしている。市議会の13議席のうち12議席を民主党が占め、そのうちの2人はトランスジェンダーの黒人、別の1人は環境保護主義者だ。

 ここで30年間暮らしているという70代の白人男性、リック・カレン(Rick Curran)さんは、「この事件がミネアポリスで起きたことはとても残念だ。この市はとても美しく、住民はオープンだと思われているのだから」「われわれにも見えない傷はある。でも、このようなことが私の住む場所で起きてしまったことが、とても悲しい」とコメントした。

 人口約43万人で、アフリカ系住民が全体の約20%を占めるミネアポリスでは、2015年にも同様の抗議デモが起きている。ホームパーティーで起きた口論が原因となり、若い黒人男性、ジャマー・クラーク(Jamar Clark)さんが警察官に銃で撃たれて命を落としたことに人々が怒りをあらわにしたのだ。

 ミネアポリス市民の多くは、こうした事件が何か特別なものではなく、むしろ同市の警察に内在する人種差別的な文化を反映しているにすぎないとの考えを示している。