【6月4日 AFP】仏国立公文書館(French National Archives)は3日、フランス革命中に処刑された王妃マリー・アントワネット(Marie Antoinette)が恋人のフェルセン伯爵(Count de Fersen)と交わした手紙の中で、インクで塗りつぶされ判読不能となっていた箇所の解読に成功したと発表した。

 王妃とフェルセン伯は、1789年の仏革命から2年後も手紙のやりとりを続けていた。当時、王妃と夫の国王ルイ16世(Louis XVI)はパリ脱出に失敗し、チュイルリー宮殿(Tuileries Palace)で幽閉生活を送っていた。

 今回、新技術を用いて解読されたラブレターの一部は、王妃とフェルセン伯の親密さをいっそう裏付けるものだ。

 解読プロジェクトの責任者は、「それまで慎重に隠していた王妃への思いを、フェルセンが明確な文章でつづった手紙を初めて読むことができた」と述べた。「マリー・アントワネットとフェルセンは、内容の大半が政治的な手紙でも、自分たちの気持ちを愛の言葉で伝えていた」

 95日間に及ぶプロジェクトでは、2年前に開発された蛍光X線分光技術を用いて、手紙に使われたインクの組成を分析した。塗りつぶされた箇所の解読から分かったことは、2人の関係の「衝撃的な新事実」というよりも、むしろ「強制的な別れや幽閉といった特定の状況下における希望、不安、信頼、恐れなどの感情の発露」だったという。

 一部が塗りつぶされた手紙15通のうち、消された内容が明らかになったのは8通のみ。残る7通は、文字のインクと塗りつぶしのインクが同一で、解読できなかった。

 フェルセン伯爵が手紙を書くのに使用したインクと、塗りつぶしに用いられたインクが類似しており、塗りつぶしたのは伯爵自身だった可能性を示唆している。(c)AFP