【6月4日 AFP】(更新)ロシアのシベリア(Siberia)地方の火力発電所で大量の軽油が川に流出する事故があり、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は3日、非常事態を宣言する一方、発電所の運営会社を厳しく叱責した。

 ロシア当局によると、事故が起きたのは、北極圏の都市ノリリスク(Norilsk)近郊の火力発電所。5月29日に燃料タンクが損傷し、軽油1万5000トンが付近の川に、6000トンが土壌に流出した。

 当局が発電所を運営するNTEKが事故報告を怠ったと指摘したことを受けて、プーチン氏はテレビ会議で、NTEKのセルゲイ・リピン(Sergei Lipin)社長を厳しく批判。「なぜ政府機関が事故について把握するのが、発生の2日も後になったのか? 政府は緊急事態をソーシャルメディアで知るものなのか?」などと問いただし、異例の厳しい叱責を行った。

 NTEKの親会社、金属大手ノリリスク・ニッケル(Norilsk Nickel)は、NTEKが「適時適切」な方法で事故について報告したと発表している。

 重大犯罪の捜査を担当する連邦捜査委員会(Investigative Committee)は、環境法令違反の疑いで捜査を開始し、発電所の職員1人を拘束したと発表した。

 連邦捜査委員会が公開した現場のものとされる動画には、軽油が燃料タンクから流れ出したり、フェンスの下を流れたりする様子が映っていた。

 世界自然保護基金(WWF)の専門家、アレクセイ・ニズニコフ(Alexei Knizhnikov)氏によると、今回の流出量は、1994年にロシア北西部コミ(Komi)共和国で数か月にわたって発生した原油流出事故に次ぎ、ロシア近代史上2番目になるという。(c)AFP