【6月3日 AFP】インドの主要都市ムンバイ近郊に3日、サイクロン「ニサルガ(Nisarga)」が上陸し、複数の民家の屋根が吹き飛ばされた。同市とその周辺をサイクロンが直撃するのは約70年ぶりで、当初は最悪の事態も危惧されていたが、大きな被害は回避されたものとみられる。

 ムンバイ付近が最後にサイクロンの深刻な被害を受けたのは1948年。当局は、マハラシュトラ(Maharashtra)州やグジャラート(Gujarat)州の洪水が発生しやすい地域で、少なくとも10万人を避難させていた。

 気象当局によると、ニサルガは同日午後、ムンバイの南方約100キロの沿岸部に位置する町アリバグ(Alibag)に上陸。風速28~30メートルの暴風を伴う豪雨をもたらし、最大2メートルの高潮への警戒が呼び掛けられた。

 ムンバイも午後、大雨に見舞われ、強風で木々がなぎ倒された。人口1800万人の同市では、新型コロナウイルス対策で導入されていた外出制限の緩和が進められていたが、当局は事業所や工場に閉鎖を命じ、住民には外出自粛要請を出した。

 避難した人の中には、ムンバイで最近建設された野外病院に入院していた新型ウイルスの患者約150人も含まれていた。また、同市の低地にあるスラム街の住民は、高地へ移動するよう指示された。

 インド東部やバングラデシュでは先月、サイクロン「アンファン(Amphan)」の直撃で100人以上が死亡したばかり。このサイクロンで村落が壊滅的な被害を受けたほか、農地は破壊され、数百万人が停電に見舞われた。(c)AFP