【6月3日 AFP】フランスの首都パリで2日、2016年に警察の拘束下で黒人男性が死亡したことに抗議するデモが行われ、警察発表によると約2万人が参加した。現在米国で起きている同様の趣旨の抗議行動のスローガンを叫ぶ参加者もみられ、一部で参加者と警官隊の衝突が発生した。

 デモは、16年に警察に逮捕された直後に死亡したアダマ・トラオレ(Adama Traore)さん(当時24)の死因について二つの異なる医学報告が発表されたことがきっかけで起きた。フランスではこれまでもトラオレさんの死をめぐり、警察の暴力に抗議するデモや集会が行われてきた。

 フランスでは現在、新型コロナウイルス対策として10人を超える集会が禁止されているが、2日午後には大勢の参加者がパリ市内北東部の裁判所前に集結した。

 参加者の多くは、米国で黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察の拘束下で死亡したことをめぐって発生している抗議行動で使用されている「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」や「息ができない(警官に押さえつけられたフロイドさんの言葉)」などのスローガンを叫んでいた。

 トラオレさんの姉のアッサさんは群衆を前に、「今日の闘いはトラオレ一家だけのものではなく、すべての人にとっての闘いです。ジョージ・フロイドさんのための闘いであり、アダマ・トラオレのための闘いです」「米国で起きていることは、フランスで起きていることとつながっている」とスピーチをした。

 またAFP記者によると、一部で投石した参加者と警官隊が衝突。警官隊が催涙ガスやゴム弾を使用すると、デモの参加者らは周辺の道路に退散した。警察のゴム弾とデモ参加者の投石の応酬は、パリを囲む環状道路周辺で散発的に発生。一部の道路ではデモ隊がバリケードを築き、火をつける光景もみられた。

 警察当局はツイッター(Twitter)で「禁止されている抗議デモの中でいくつかの事件が発生し、治安部隊が介入している」と述べた。

 この日フランスではパリ以外の都市でも抗議デモが行われ、リール(Lille)で2500人、マルセイユ(Marseille)で1800人、リヨン(Lyon)で1200人が参加した。(c)AFP/Romain FONSEGRIVES