【6月2日 AFP】バングラデシュにあるイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)難民キャンプで、71歳の男性が新型コロナウイルス感染症により死亡した。当局が2日、発表した。同ウイルスにより亡くなったロヒンギャ難民は、この男性が初めてだという。

 南東部コックスバザール(Cox's Bazar)の保健当局幹部は、「男性は5月31日に亡くなったが、昨夜になって、新型コロナウイルス感染症により死亡したことが確認された」と述べた。

 男性は、クトゥパロン(Kutupalong)キャンプで生活していた。クトゥパロンはロヒンギャ難民向けのキャンプでは最大で、約60万人が暮らしており、男性以外に少なくとも28人が新型ウイルス検査で陽性反応を示している。

 ロヒンギャ難民キャンプには合わせて100万人近くが収容されている。公衆衛生の専門家らは以前から、同キャンプで新型ウイルスが急速に拡散する恐れがあると警告してきた。

 コックスバザールの同保健当局幹部によると、男性は国境なき医師団(MSF)が運営する隔離施設で死亡し、その日のうちにキャンプ内で埋葬されたという。

「われわれはキャンプの管理者に報告し、今回の死亡例について人々に知らせ、警戒を呼び掛けていく」と述べるとともに、男性と接触した人の追跡を進めていると明かした。

 コックスバザールの人口は、ロヒンギャ難民を含め340万人。4月初めに新型コロナウイルスの感染者が複数報告されると、完全封鎖が実施された。

 キャンプで最初に感染者が報告されたのは先月半ばで、その後当局は、感染者の多くが報告されたキャンプがある複数の地区につながる道を封鎖した。

 先週には感染者数の増加を受け、難民約1万5000人が隔離された。(c)AFP/Shafiqul ALAM