【6月8日 CNS】中国・成都市(Chengdu)郫都区(Pidu)犀浦(Xipu)派出所の警官、羅洪日沙(Luo Hongrisha)さんは先日、管轄区域内の住民訪問の際に、ある住民から同じマンションに住んでいる高齢の女性がたくさんの犬を飼っており、夜中も犬の鳴き声が絶えずよく眠れないとの苦情を受けた。

 羅警官はくだんの高齢の女性、黄さんの家を訪問。しかし、黄さんは反発し家の中に入れようとしない。羅警官は来訪の目的を繰り返し説明し、ようやく家の中に入れてもらった。

 家に入った羅警官は驚いた。家の中は、多くの犬用の部屋で仕切られており、床には至る所に犬の毛や排せつ物が放置され、強烈な匂いで充満していた。家の中で飼われていた犬はなんと29匹もいた。

 羅警官は黄さんに「犬を飼うのはいいけど、ルールは守ってくださいね。こんなにたくさん飼うことはルール違反です。どうするかはご自身で決めてください。でないと強制収容となります」と説明した。

 警官の話を聞いた黄さんは怒り出し、「野良犬を自分のお金で引き取って飼っているのよ。食事もトイレも全部家の中でしているし、一度も家の外になんか出したこともない、何が悪いの?処分しろと言われたってそんなお金はないし、連れ出そうとしても、命がけでそうはさせない」という。興奮した黄さんを見て、羅警官は早々に引き上げるしかなかった。

■ペット収容施設と調整し25匹が引っ越し

 同日夜、羅警官は再び役所の職員と共に、問題解決の糸口を探そうと、黄さんの家にやってきた。話を聞くと、黄さんはずっと一人暮らし。野良犬の面倒を見ることが好きで、一月の年金4000元(約6万円)はほとんど犬のために使っている。犬との暮らしが長くなるにつれ、犬が黄さんの生きがいとなったという。

 そこで、派出所は、地元の動物保護センターと役所の出張所、団地の管理事務所と住民の代表者に集まってもらい、解決策を相談、丸く収まる方法を見つけた。

 5月7日午前、羅警官は再び黄さんの自宅にやってきた。羅警官の話を聞いた黄さん、初めは首を縦に振らなかったが、根気よく動物保護センターの状況を説明すると、ようやく、犬を引っ越しさせることに同意した。

 高齢者の一人暮らしの孤独を和らげるため、隣近所に迷惑をかけないことを条件に、羅警官は3匹の老齢の犬を残し黄さんが引き続き世話をし、この他に子犬を1匹残すこととなった。

 そして5月11日、犀浦派出所と啓明動物保護センター、役所の職員などが一緒に25匹の犬の引っ越しを行ったのだった。(c)CNS-華西都市報/JCM/AFPBB News