【6月2日 AFP】米ミネソタ州で非武装の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さん(46)が死亡した前週の事件を発端に、全米各地が混乱に陥っている状況を受けて、米プロバスケットボール(NBA)でサンアントニオ・スパーズ(San Antonio Spurs)の指揮を執るグレッグ・ポポビッチ(Gregg Popovich)ヘッドコーチ(HC)は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領について指導力が欠如していると批判した。

 ずっと以前からトランプ大統領に批判的だったポポビッチHCは、先月31日に米誌ザ・ネーション(The Nation)に対して、警察による暴力や人種差別といった米国でこれまで解決されていない問題が、多くの都市や町で3夜連続で暴動が起きる状況をつくったと指摘した。

「驚かされるのは、こうした警察の暴力や人種差別はずっと前から目の当たりにしていることなのに、何一つ変わっていないという状況だ」「だから、こうした抗議行動が爆発しているんだ。しかし、リーダーシップがなく何が問題なのか理解されないままでは、これからも決して変わらない。米国の白人は、この問題に向き合うことをずっと避けてきた。なぜなら、それを避けるのはわれわれの特権だったからだ。そこも変わる必要がある」

 ポポビッチHCはまた、トランプ大統領について「分断しているだけではない。彼は破壊者だ」と言い放った。さらには、「われわれのリーダーが、『黒人の命は大切』と言えないことに衝撃を受けている」とすると、「結局のところ、われわれの目の前にいるのは大統領ではなく一人の愚か者だ。そして、この国を実際に動かしているのは共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)院内総務で、この人物が米国の将来を台無しにする」と警告した。

 全米バスケットボールコーチ協会(NABC)は、発信力がない人のために声を上げる義務があるとのコメント文を発表し、これにはポポビッチHCをはじめNBAの指揮官やアシスタントコーチらが署名した。

 米スポーツ専門チャンネルESPNの報道によれば、数分間にわたり警官に首を膝で押さえつけられて亡くなったフロイドさんの事件を受けて、NABCが現役および過去のコーチ陣による委員会を設立し、変革のために地元の指導者や警察と協力していくことになったとされている。(c)AFP