【6月2日 AFP】米国で白人警官による黒人男性の暴行死をめぐり激化している抗議デモについて、ジンバブエが扇動していると述べた米高官の発言をめぐり、ジンバブエ政府は1日、米大使を呼び正式に抗議した。

 米国はアフリカ系男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが白人警官に膝で首を押さえつけられ、息ができないとの訴えを無視されて死亡した事件を受け、連日の抗議デモに揺れている。

 そうした中、米政権のロバート・オブライエン(Robert O'Brien)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は5月31日、米ABC放送のインタビューで、ジンバブエと中国を「敵国」と呼び、ソーシャルメディアを使って米国の混乱をあおり「国内不和の種をまいている」と非難した。

 このオブライエン氏の発言をめぐり、ジンバブエ外務省のジェームズ・マンズー(James Manzou)報道官は、オブライエン氏の発言についての説明を求め、米国のブライアン・ニコルズ(Brian Nichols)大使を呼び出したと述べた。

 ジンバブエのシブシソ・モヨ(Sibusiso Moyo)外相はオブライエン氏の主張を「事実無根の虚偽」として一蹴し、トランプ政権による発言は有害だと批判。「ジンバブエは過去も今も、アメリカ合衆国の敵国ではない」「米国大使にオブライエン氏の主張は虚偽であり、事実無根であることを伝えた」と述べた。

 ジンバブエと米国の関係は、米政府が2002年に人権侵害を理由にロバート・ムガベ(Robert Mugabe)前大統領とその側近らに制裁を科して以来、緊張したものとなっている。

 さらに米国は、2017年に就任したジンバブエのエマーソン・ムナンガグワ(Emmerson Mnangagwa)現大統領の改革の失敗と野党への暴力的な弾圧を理由に今年3月、それらの制裁を延長した。(c)AFP