新型コロナ、今も強い病原性 WHOが伊医師の見解否定
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【6月2日 AFP】世界保健機関(WHO)は1日、新型コロナウイルスの病原性が以前に比べ弱まったとのイタリアの著名医師の発言を受けて、同ウイルスの病原性が突然低くなったことはないと強調した。
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問題の発言は、イタリアの新型ウイルス流行中心地である北部ロンバルディア(Lombardy)州の州都ミラノ(Milan)にあるサンラファエレ(San Raffaele)病院の院長を務めるアルベルト・ザングリロ(Alberto Zangrillo)医師が5月31日に行ったもの。
ザングリロ氏は国営テレビRAIに対し、「実際のところ、新型ウイルスは臨床上、もはやイタリアには存在しない」と言明。「1〜2か月前に行われた検査と比較すると、過去10日間に行われた検査で検出されたウイルス量は極めて微量だということが分かった」と説明した。
専門家らはこの見解に反論し、ザングリロ氏が無症状感染者の検知率上昇とウイルスの弱体化を取り違えている可能性を指摘。伊政府も同氏の見解に対し注意喚起していた。
WHOの緊急事態対応を統括する疫学専門家のマイケル・ライアン(Michael Ryan)氏は、ウイルスの病原性が弱まっていると考えることは危険だと指摘。「注意を払う必要がある。これは今も殺人ウイルスだ」と述べ、「われわれは、ウイルスが突然、自らの意志で病原性を低くすることを決めたというような感覚を作りださないよう、特別な注意を払う必要がある。それは事実では全くない」と強調した。(c)AFP/Robin MILLARD