【6月2日 AFP】新型コロナウイルス流行による緊急事態宣言解除の後、日本政府が訪日外国人観光客の旅行費用を最大半額まで補助するとの情報が5月、オンラインメディアやソーシャルメディアの投稿で広まった。

 まず、これは誤解を招く情報だ。日本政府は5月27日、この計画が適用されるのは、日本国内居住者が国内旅行をする場合のみであることを明確にしている。政策の詳細はまだ最終決定されていない。

 この情報は5月27日にマレーシアの旅行サイトに掲載された。記事の見出しには、「日本政府が飛行機代を補助、新型ウイルスで打撃の観光業復興で」とある。

 最初の数段落には「日本政府は観光客を呼び戻すための大胆な観光政策の下、訪日観光客の旅行費用を補助する新しいキャンペーンを開始した。観光庁トップは、総額2兆円規模の支援によって旅費の半額を補助し、外国人観光客を誘致したいと語った」と書かれている。

 同じような情報は、世界の複数のメディアによって伝えられた。英大衆紙デーリー・ミラー(Daily Mirror)やアイルランドのラジオ局「iRadio」、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)などもこの報道に連なった。

 さらにこの情報はツイッター(Twitter)やインスタグラム(Instagram)といったソーシャルメディアでも拡散した。

 日本政府はこの誤報が世界中に広まった後、補助金計画を明確に説明し、提案は国内旅行のみに適用される点を強調した。

 また国土交通省は5月27日、観光業の復興支援策について、メディアによって「事実誤認に基づく内容」が流布されていたと発表。「正確には、日本政府として検討しているGo Toトラベル事業(仮称)は、日本国内での旅行需要喚起のため、日本国内居住者を想定し、『日本国内における宿泊旅行の費用などを支援するキャンペーン』」だと説明した。一部は英語にも翻訳された。

 観光庁も同日、ツイッター(Twitter)でこの情報を否定。「一部報道関係機関において発信されている、『日本政府は、外国人旅行者に日本を訪れていただくため、旅行費の半額を支援するキャンペーンを検討している』旨の報道について、事実誤認に基づく内容が含まれているため、下記の通りお伝えします」として、国土交通省のサイトにリンクを張っている。

 AFPは誤解を招くような報道の多くが、日本の英字紙ジャパンタイムズ(Japan Times)の5月21日の記事を情報源として参照しつつ、詳細を正確に反映していなかったことを突き止めた。

 ジャパンタイムズの報道は共同通信の配信を用いたもので、政府が「国内観光の活性化」を目的とした観光支援策を検討しているとあるが、外国人観光客についての言及は一切ない。

 記事では「観光庁の田端浩(Hiroshi Tabata)長官は記者会見で、1兆3500億円を投じて旅行代金の半額を補助するキャンペーンの開始について、感染拡大が早期に収まれば、最速で7月になるとの認識を示した」と報道している。(c)AFP