【6月1日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は5月31日、左派の反ファシズム運動「アンティファ(Antifa)」をテロ組織に指定するとツイッター(Twitter)に投稿した。白人警官に拘束された黒人男性が死亡した事件への抗議デモが全米に拡大する中、トランプ氏は暴力行為の激化はアンティファの仕業だと主張している。

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 トランプ氏や複数の政権幹部は、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警官に膝で首を押さえつけられて死亡した事件に抗議する平和的なデモを、アンティファや「極左の過激派」が乗っ取っていると非難している。

 トランプ氏は、「米国はアンティファをテロ組織に指定する」とツイッターで発表したが、詳細には言及しなかった。

 さらに、トランプ氏は連続ツイートで、数日間暴動が続いたミネアポリスの治安を30日に出動した州兵が回復させたと賞賛。「アンティファが無政府主義者らを率いたが、ただちに抑え込まれた。デモ初日の夜に市長がそうするべきだった。そうすれば問題は起きていなかった!」と主張し、ミネアポリスのジェイコブ・フレイ(Jacob Frey)市長(民主党)を批判した。

 フロイドさんが警官に首を膝で押さえつけられる様子を捉えた映像は広く拡散され、全米で怒りが噴出しているほか、世界各地で抗議デモが起きている。

 アンティファは「反ファシスト」の短縮形で、近年台頭している秘密主義の過激な活動家らの運動。2017年にバージニア州シャーロッツビル(Charlottesville)で白人至上主義団体のデモと衝突したことで知られる。グループ同士の結束は緩やかで、明確なリーダーの存在は確認されていない。このため、テロ組織に指定したとしても取り締まりは難しいとみられる。

 アンティファは人種差別、極右の価値観、ファシズムとみなしたものへの抗議活動を展開し、自己防衛としての暴力的戦術は場合によっては正当化されると主張している。メンバーは黒づくめの格好をすることが多い。(c)AFP