【6月1日 AFP】ロシアの宇宙当局者らは先月31日、米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)の有人宇宙飛行の打ち上げ成功をめぐる「ヒステリー」に戸惑っていると発言した。一方、同社の創設者イーロン・マスク(Elon Musk)氏はロシアからのかつての皮肉を冗談で返した。

 スペースXは先月30日に世界で初めて民間企業として人間を軌道上に送るという歴史的偉業を成し遂げ、ロシアが長らく握っていた宇宙飛行の独占的地位を打ち破った。

 ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモス(Roscosmos)のドミトリー・ロゴジン(Dmitry Rogozin)社長は以前、米国はいつか「トランポリンを使って宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に送る」ことを強いられるかもしれないと述べていた。

 マスク氏はこれに対し、米航空宇宙局(NASA)のジム・ブライデンスタイン(Jim Bridenstine)長官と行った打ち上げ後の記者会見で「トランポリンがうまくいった」とからかった。2人はこれを笑って、マスク氏は「内輪ネタだ」と付け加えた。

 ロゴジン氏は31日はほぼ終日沈黙を続けたが、NASAの宇宙飛行士2人を乗せたカプセル型宇宙船「クルードラゴン(Crew Dragon)」がISSにドッキングした後、ブライデンスタイン氏に祝辞を送った。

 ロシアは米国に敬意を表しながらも、新たな時代の夜明けと多くの人が称賛する出来事への熱狂に戸惑っていると語った。

 ロスコスモスの報道担当者ウラジーミル・ウスチメンコ(Vladimir Ustimenko)氏は「宇宙船クルードラゴンの打ち上げ成功で火が付いたヒステリーはあまり理解できない」と述べた。(c)AFP/Anna SMOLCHENKO