【5月31日 AFP】ネパールで、カースト(身分制度)最下層の若者6人が殺害される事件があり、国連(UN)の人権高等弁務官が同国に調査を強く要求している。殺害された若者の中には12歳の少女も含まれており、ネパール国内では怒りの声が上がっていた。

 かつて「不可触民」として知られたカースト最下層のダリット(Dalit)は、ネパール人口の約13%を占めているものの、差別が正式に非合法化されてもなお、彼らに対する不当な扱いは根強く残っている。

 同国西部ルクム(Rukum)郡では先週、ダリットの若者たちの友人グループが村の暴徒に追いかけられて襲われる事件が発生。暴徒は、グループの少年の一人が異なるカースト出身の少女との結婚を計画していたことに激怒していた。

 若者たちは同郡を流れる川へやむなく飛び込み、警察や報道によると、少なくとも5人が水死。1人は現在も行方不明だという。

 警察はこれまでに20人を逮捕。地方政府の役人1人もこの事件に関与したとして逮捕された。

 同日には南部ルパンデヒ(Rupendehi)郡で、ダリット出身の少女(12)の遺体が木につるされているのが発見された。

 国連によると、少女は別のカースト出身のレイプ犯とみられる男との結婚を強制され、その後殺害されたという。

 国連のミチェル・バチェレ(Michelle Bachelet)人権高等弁務官は、「憲法上保障されているにもかかわらず、カーストに基づく差別や暴力を処罰しないケースがネパールでは依然として多い」として、一連の殺害事件に対する独立調査の実施を要求した。(c)AFP