【5月31日 AFP】インドのラジナート・シン(Raj Nath Singh)国防相は、中国との国境で最近発生したにらみ合いについて、インドの「プライドに傷が付けられる」ことは許さないとした上で、中国と協議を通じて解決する意向を明らかにした。

 中国・チベット自治区(Tibet Autonomous Region)に接する印ラダック(Ladakh)地方では最近、両国の兵士ら数百人のにらみ合いが発生した。

 さらに今月9日には、印北部シッキム(Sikkim)州で両国軍兵士による殴り合いや投石があり、緊張が激化。兵士ら数十人が負傷し、インド軍兵士の負傷者の多くは、現在も入院している。

 現在起きているにらみ合いは、主にラダック地方のヒマラヤ(Himalayan)山脈沿いの国境にある、複数の戦略的要衝へのアクセスを押さえるガルワン(Galwan)渓谷付近を軸にして展開している。

 中印両国は互いを非難しているが、専門家らは同地域でインド側が新たに道路を建設していることが、対立の火種となっている可能性があると指摘。両国とも同地域に兵力と装備を増強した。

 シン国防相は30日夜、ヒンズー語ニュースチャンネル「Aaj Tak」でのインタビューで、「いかなる状況でもインドのプライドが傷付けられるのを許さないと、わが国に保証したい」と発言。

 同相は両国の係争地となっているドクラム(Doklam)高地で2017年に発生した同様のにらみ合いについて言及し、「非常に緊迫」したものの、「われわれは引かなかった」と強調した。

 また、「インドは、近隣諸国と良好な関係を維持するという明確な方針に従ってきた。これは新たなアプローチではない」と説明。

 さらに、「時折、中国との間で難題が発生する。こうしたことは以前からあった」と述べ、インド側が「緊張がエスカレートしない」ように努力していると強調。「2国間で、軍事・外交レベルでの交渉が行われている」とも明らかにした。(c)AFP