【5月30日 AFP】アフリカ南部ザンビアにある中国企業の工場で先週、中国人の幹部3人が不満を抱いていた従業員によって惨殺されたとみられる事件を受け、中国が大きな存在感を示す状況をめぐり、同国で緊張が再燃している。

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 地元メディアが報じたところによると、全焼した工場で遺体として見つかった犠牲者3人は、自らが所有する繊維企業がある首都ルサカ郊外マケニ(Makeni)で、不満を抱いていた従業員らに殺害された。

 警察は27日、捜査によりこれまでに容疑者2人の身柄を拘束したことが明らかにしている。

 ジョセフ・マランジ(Joseph Malanji)外相はAFPに対し、「痛ましく、残忍な事件だ。警察は必ず事態を収拾すると確信している」と述べた。

 だが事件に先立ち、ルサカでは住民たちから不当な扱いについて不満の声が上がり、マイルズ・サンパ(Miles Sampa)市長は、理髪店や飲食店をはじめとする中国の事業所を閉鎖する運動を展開していた。

 市長はまた、その他の中国企業に対しても矛先を向け、社内では英語を用い、中国人のみの雇用を止めるべきだと激しく非難。「アパルトヘイト(人種隔離政策)」はずっと前に終わりを迎えていると主張していた。

 サンパ市長と中国人とのあつれきはソーシャルメディアで拡散され、政府関係者から市長に対する批判の声が上がった一方で、多くのザンビア国民からは称賛の声が上がっていた。

 サンパ市長は27日、ザンビア在住の中国人に謝罪し、「私の判断ミスだったことを認める」とコメント。だが同国の人権活動家の一人は、ザンビア人の労働者が、「この国でわが物顔で振る舞いたがる」中国人の雇用主にないがしろにされているように感じているとして、さらなる反動に警鐘を鳴らしている。

 この活動家はAFPに対し、「彼らを保護する立場にある労働組合と労働省は、その務めを果たしていない。だから人々は、何とかして自分を守らなければならない」と語った。

 国連(UN)の世界人口推計2019年版によると、ザンビアには推定8万人の中国人が居住している。(c)AFP