コロナ治療、マラリア薬の論文に疑念 著名研究者ら質問状
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【5月30日 AFP】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」と「クロロキン」の有効性に関する大規模調査の結果、効果がないばかりか死亡率が増えたとする論文が今月、英医学誌ランセット(The Lancet)に発表されたが、この論文に疑念があるとして多くの著名な研究者が28日、連名で公開質問状を発表した。
今月22日にランセットに掲載された論文は、さまざまな小規模な研究に続くもので、ヒドロキシクロロキンは新型ウイルス感染症の治療に効果がなく、何も治療しないより投与した方が危険な恐れもあるとしている。
この観察調査研究は、米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)のマンディープ・メフラ(Mandeep Mehra)氏が主導した。昨年12月から今年4月の間に数百か所の医療機関で治療を受けた約9万6000人の患者の記録を対照群と比較したもので、ヒドロキシクロロキンとクロロキンは深刻な副作用、特に不整脈を引き起こす可能性があるとしている。
世界保健機関(WHO)は、この論文の発表から数日のうちに、国際的な臨床試験「連帯トライアル(Solidarity Trial)」でヒドロキシクロロキンとクロロキンの使用を一時的に中断した。
この論文に関して、米ハーバード大学(Harvard University)や英インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London)をはじめ、世界の臨床医や疫学者ら多くの著名研究者が署名した公開質問状が28日に発表された。
質問状は「(論文の内容は)インパクトが強く、世界で多くの研究者がこの論文を精査した」とし、精査の結果、「(この論文の)方法論とデータの整合性のいずれにおいても疑念」が生じたとしている。