【5月30日 Xinhua News】28日に閉幕した中国第13期全国人民代表大会(全人代)第3回会議は画期的な意義を持つ「中華人民共和国民法典」を可決した。この法律は2021年1月1日から施行される。

 1949年の中華人民共和国成立以来、「法典」と名付けられた法律はこれが初めてであり、新中国における法典編さんと立法の先駆けとなる。

 中国民法典は中国人にとって「社会生活の百科事典」のようなものになる。2017年3月に採択された民法典の第1編、すなわち民法総則は、胎児の利益保護を強調している。この法典によると「遺産相続や贈与の受領など胎児の利益保護に関わる場合、胎児は民事権利能力を有するものとみなす。ただし、胎児が分娩(ぶんべん)時に死亡していた場合、その民事権利能力は初めから存在しない」とされる。

 昔から中国の考え方には「胎児は人」と認め、「数え年」で計算する伝統がある。「数え年」では、新生児の年齢を1歳、つまり実年齢よりも1歳上として計算する。

 上海市法学会未成年人法研究会の会長で上海社会科学院法学研究所所長の姚建竜(Yao Jianlong)氏は、明示された遺産相続や贈与の受領に加え、法律の条文は「等」という字を使った網羅的な記述方法で胎児の利益を最大限保護する法解釈の余地を残していると分析、もちろん胎児の民事権利能力は、法律に従って権利を享受する能力のみを指し、民事義務を負う能力は含まれず、胎児には損害賠償請求権もあると指摘した。

 上海外国語大学(Shanghai International Studies University)法学院の黄綺(Huang Qi)副教授は、胎児の権利と利益の保護を強調する立法精神は、人間性の輝かしさの反映であり、生命に対する尊重だとの認識を示した。

 28日に成立したこの民法典は、胎児の民事上の権利を重視しているだけでなく、高齢者の権利と利益にも焦点を当てている。民法典の編さんに加わった全国人民代表大会(全人代)代表の孫憲忠(Sun Xianzhong)氏は、「高齢化」は世界共通の課題であり、中国民法典は、現代の社会統治における困難や悩みに答えを示そうとしていると説明した。

 民法典にある「シルバー社会」を考慮した条項は遺産相続関連に限らない。もちろん、何より遺産相続について規定した条文で大きな進歩があった。すなわち公正証書遺言の効力優先が取り消され、遺言書の作成形式がより柔軟かつ多様になり、被相続人の真意が十分に尊重され、既存の公正証書遺言を変更する際に直面しうる困難が十分に考慮された。

 以前の中国の相続法では、公正証書遺言の法的効力が絶対的に優先されていた。自筆証書遺言、代筆証書遺言、録音遺言、口授遺言によって公正証書遺言を取消、変更することはできなかった。

 上海先行法治調停センター主任の張劼(Zhang Jie)弁護士は、現実には客観的な条件の制約によって、被相続人が公証役場に赴き公正証書遺言を変更するのが間に合わない場合があるとし、例えば病床にある高齢者や突発的な事故当事者などは条件が大きく制限されるため、民法典の規定はより実情に即したものになったと評する。

 中国民法典はさらに印刷遺言とビデオ録画形式の遺言を導入した。黄氏は、関連する法規定の柔軟性が高まり、今日の社会生活により適合したものになったとみる。

 このほか後見の問題では、最新の中国民法典は未成年者と高齢者に特別な配慮をしている。高齢者を例にすると、「成年後見」の法的概念が明確に規定された。

 民法典の規定では、完全な民事行為能力を有する成人は、その近親者、その他後見人となることを希望する個人または組織と事前に協議して、自己の後見人を書面により確定することができる。協議により確定した後見人は、当該成人が民事行為能力を喪失または一部喪失したときに、後見の職責を履行する。

 張氏は、これは認知障害など高齢者における後見上の問題を事前に考慮したものであり、中国民法典の大きな進歩と「吾が老(ろう)を老として、以て人の老に及ぼす」(自分の家の老人を大切にし、その気持ちをよその老人に対しても持つ)という中華文明の伝統的倫理を反映したものとの見方を示した。(c)Xinhua News/AFPBB News