【5月29日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の元QBで、現在は市民活動家としても知られるコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が28日、同国ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で非武装の黒人男性が警察に首を押さえつけられて死亡した事件のデモ活動を行っている人々を支持するメッセージを発信した。

 2016年に人種差別などの不正を訴えるために試合前の国歌演奏で膝をついて抗議し、国中の論争に火を付けたキャパニックは、ジョージ・フロイド(George Floyd)さん(46)が死亡した25日の事件を受けて、人々には抗議活動を行う以外に選択肢はなかったとの認識を示した。

 レストランの従業員だったフロイドさんは、警官1人に首を膝で地面に数分間押さえつけられ、死亡した。身柄拘束時を捉えた映像では、手錠をかけられたフロイドさんが苦しそうにあえぎ、息ができないと訴えていた様子が確認された。

 武装していない黒人男性が警察との衝突で死亡し、怒りが引き起こされているケースはここ数年で繰り返されており、またしても同様の事件が発生することになった。今回もミネアポリスで激しい抗議行動を招いており、デモの参加者が警察と衝突しているほか、店への略奪行為や放火などが連夜にわたって起きている。

 サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)の元スター選手で、抗議行動がきっかけでNFLから事実上追放されているキャパニックは、デモの参加者には攻撃的な行動に出る権利があると擁護した。

 2017年シーズンの開幕前にフォーティーナイナーズから放出されて以来、NFLでは活動停止状態が続いている32歳のキャパニックは、事件後に初めてツイッター(Twitter)に公のコメントを発表し、「平和的な手段が死につながってしまっている時は、抵抗するのが唯一の合理的な反応だ」とつづった。

「平和を求める叫びであふれるだろう。だがそうした声は聞き受けられない。なぜなら、あなたたちの暴力が、この抵抗をもたらしたからだ」「われわれには抵抗する権利がある。力強く眠れ、ジョージ・フロイド」

 この事件に関わった4人の警官は免職され、殺人罪での起訴を求める声が上がっている。(c)AFP