【6月13日 AFP】新型コロナウイルスの流行によって飲食店が営業停止を余儀なくされたことで、世界中の権威あるレストランガイドは格付けを続けるか否かで、方針が分かれている。

 レストランガイドの最高峰とされる「ミシュランガイド(Michelin Guide)」は、平常通りの格付け続行にこだわっている。「ロックダウン(都市封鎖)の最中でも偉大なシェフの才能が失われることはない」と、新総責任者グウェンダル・プレネック(Gwendal Poullennec)氏はAFPの取材に語った。

「彼らが工夫を重ね、創造している新レシピ」を「店舗再開時に試してみたいという欲望に耐えきれず」、ミシュランの調査員らはうずうずしているという。

 しかし批評家やライバルのレストランガイドは、ミシュランの動きに疑問を呈している。またシェフらは何百万という顧客を失った上に、貴重な格付けの星までも失ってしまうのではないかと不安に思っている。

 ミシュラン最大のライバルである美食ガイド「ゴ・エ・ミヨ(Gault & Millau)」は、今こそ「大きな危機にある」レストランに寄り添い、支援すべきだと主張する。ジャック・バリー(Jacques Bally)代表によると、今年はシェフ、パティシエ、ワインソムリエ各賞の選考を見送ったが、2021年度版は10月に通常通り発行する予定だという。

 レストランが再開しても、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)の徹底は続く見込みだ。バリー氏は、このような状況において「ガイドとしての私たちの責任は、何が行われているのか、何ができる可能性があるのかに焦点を当てることだ」とし、「レストランは今後1年半、非常に困難で危険な状況に置かれるだろう」と警告した。

 ゴ・エ・ミヨはまた、新型ウイルス危機の間に社会的良心を示したシェフに加えて、クリック・アンド・コレクト(オンライン注文したメニューを決まった地点で受け取れるサービス)やオーブンで温めるだけで食べられるメニュー開発、さらには一流シェフの出張サービスなど実験的な試みをしているシェフたちにスポットライトを当てようとしている。