■ホロコーストの記憶を次世代にどう伝えるか

 シュルマンさんは「私の両親は、あの暗闇から抜け出したときに心にすっかり傷を負っていました。戦争の話は一切しませんでした」と言う。

 今年行われたアウシュビッツ解放記念日の行事でイスラエルのレウベン・リブリン(Reuven Rivlin)大統領は、「ホロコーストの記憶を、生存者がいなくなった世界に住む次世代にどうやって伝えるか」という問題を考えていかなければならないと呼び掛けた。

 マウトハウゼン記念館で教材を作成する仕事に従事しているベルンハルト・ミューレダー(Bernhard Muehleder)さんは、「語り手が(ホロコーストを)生きて体験していれば、聴衆はその出来事をより強烈に受け止める」と語る。

 その目的のために「収容所の赤ん坊たち」は、自分たちの体験を動画として撮影することに取り組んでいる。

 ベルガーモランさんは語る。「私たちが最後の証人なのだから、メッセージを強力に打ち出した方がいい。だって私たちがいなくなったら、ホロコーストのことは忘れ去られてしまうんじゃないでしょうか」 (c)AFP/Blaise GAUQUELIN