【5月29日 AFP】がん患者の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡率が非がん患者の2倍以上であることが、28日に発表された大規模研究で明らかにされた。

 英医学誌ランセット(The Lancet)に発表されたこの研究は、米国、カナダ、スペインの患者900人以上を調査。がんが進行しているほど新型ウイルスによる死亡率が増加することが明らかになった。

 日常生活能力が低下したがん患者は、より日常生活能力が高い患者よりもリスクが高かった。

 論文の著者らは、新型コロナウイルス感染症と診断されてから30日以内の、全死因での死亡数を調べた。

 論文の共著者で、米ダナ・ファーバーがん研究所(Dana-Farber Cancer Institute)のがん専門医であるトニ・シュエイリ(Toni Choueiri)氏は、「(がん患者の)全死因での30日死亡率は13%で、ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)が報告した世界平均の2倍以上だった」とAFPに語った。

 研究チームはまた、高齢、男性、二つ以上の基礎疾患、喫煙歴といった要因も死亡リスクの増加に関連していることを明らかにした。これは過去の研究と一致する。

 一方、新型コロナウイルス感染症と診断されてから4週間以内に化学療法または他の抗がん療法を受けても、死亡率への影響はなかった。

「まとめると、元気で併存疾患がほとんどないがん患者は、適切ながん治療を進めることができ、また進めるべきであることを示唆している」とシュエイリ氏は指摘。しかし、日常生活能力が低下している患者やがんが進行している患者は、「がん治療のリスクと利益について、がん専門医と慎重に話し合う必要がある」と述べた。(c)AFP