■「大胆な措置」

 米テキサス大学(University of Texas)のソーシャルメディア研究者のサミュエル・ウーリー(Samuel Woolley)教授は、これを政治的圧力に直面した「ツイッターによるきわめて大胆な措置」と呼び、さらにフェイスブック(Facebook)その他のSNS企業が同様の行動に出る可能性があると歓迎した。

「ツイッターは多くの反発を受けるだろうし、それに耐えうるかどうかはこれからの話だ」とウーリー氏は語った。

 ノースカロライナ大学(University of North Carolina)の情報、技術および公共生活センター(Center for Information, Technology, and Public Life)のダニエル・クレイス(Daniel Kreiss)教授は、ツイッターは政治的発言のより広い分野や他の話題に入り込むことなしに、選挙の誤情報に関する同社の方針を実行したとして「正しい決断を下した」と語った。

「ツイッターは選挙の健全性を守るという譲れない一線を引いて、それはこのプラットフォームを好きなように使うという誰の権利にも勝ると断言している」 とクレイス氏は話す。「私は彼らの行動は十分に正当化されると思う。明確な価値観と透明性のある方針を打ち出した」

 クレイス氏はツイッターによるこの慎重なやり方は、同社が、毒にまみれた選挙運動の中を政治的論争にはまり込むことなくバランスを取って進むことを可能にするものだとしたうえで、「どの道を進むにしろ批判を受けるだろう」とも指摘している。

 ボストン大学(Boston University)の政治コミュニケーション学のミッシェル・アマジーン(Michelle Amazeen)教授は、ツイッターの措置を「前に進むために強く求められていた一歩」と呼ぶ一方で、このことがツイッター上の誤情報にどれだけ影響を与えるかについては疑問を投げ掛けている。

「ツイッター利用者は今後、もしこの注意喚起がなければトランプ氏のツイッターを正確だと信じることになるだろうか。調査結果によれば、そうなるのだ」

 アマジーン氏はツイッターの措置は、大半の報道機関が実施しているのと同種の基準を確立するにはまだ至っていないと指摘する。

「ツイッターは、まっとうなニュースの信頼できる情報源ではない」「研究が示しているのは、ニュースをソーシャルメディアに頼っている人は、主流の情報源に頼る人と比べて、ずっと誤情報を受けやすいということだ」

 フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)は、米FOXニュース(Fox News)のインタビューでツイッターの注意喚起について尋ねられ、フェイスブックは方針が異なると語った。

「フェイスブックは人々がオンライン上で話す、あらゆることの真偽の裁定者であるべきではないと、強く思っている」 (c)AFP/Rob Lever