【5月28日 AFP】台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統は27日、民主主義を求める中で台湾に保護を求める香港人のため、人道的「行動計画」を策定すると表明した。

 中国政府が先週、香港での民主化デモを受けて「香港国家安全法」を制定すると発表したことを受けて、香港では民主化デモが再燃し、多くの西側の国と台湾は警戒感を強めている。

 蔡総統は報道陣を前に香港国家安全法について語った中で、中国政府に「崖っぷちで踏みとどまる」よう求めるとともに、「香港人を支援するわれわれの決意は変わっていない」と述べ、政権として台湾に移住を希望する香港人への支援を続けていくと表明した。

「行政院(内閣)は、香港の人々の居住、住み家、支援などに関する包括的な計画を提供するため、香港人道支援行動計画を策定する」(蔡総統)

 蔡総統は、対中政策を管轄する台湾の行政院大陸委員会が計画の草案を作成すると述べた。

 昨年は、前年比41%増となる5000人超の香港人が台湾に移住した。その中には民主化デモ関連で訴追を逃れようとしたり、アジアで最も進歩的な民主主義社会である台湾で新しい生活を手に入れようとしたりする人もいた。

 今回の蔡総統の発言は、人権団体が台湾政府に台湾に逃れる香港人のために難民法の制定を求める中でなされた。

 台湾は、強権的な中国から大勢の人が流入することを恐れて政治亡命や難民申請を受け入れるという法的概念を認めていないが、香港人は投資ビザなどさまざまな手段で台湾居住を申請することができる。

 台湾の法律は、政治的理由で安全と自由が脅かされている香港とマカオ(Macau)の住民に「必要な支援」を提供するとしているが、その具体的な内容は定められていない。(c)AFP