【6月6日 AFP】ウクライナの首都キエフのホテルで、プラスチック製のベビーベッドに赤ちゃんがずらりと並んでいる。マスクと手袋を着用したスタッフがミルクをあげたり、おむつを交換したりしている。

 生後5日~数週間の50人余りの新生児は、ウクライナで代理出産によって生まれてきた。だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)によって政府が国境を封鎖したため、中国、ドイツ、スペイン、フランス、イタリアなど外国人の親らは引き取りに来られない状況に陥っている。

 現在新生児らがいるのは、生殖医療を手掛けるバイオテックスコム(BioTexCom)が、普段は親らの滞在用に提供しているキエフの端に位置するホテル「ベニス(Venice)」だ。ウクライナの代理出産市場の約半分を占めると自称する同社は、顧客に4万~6万5000ユーロ(約490万〜790万円)を請求している。

 ウクライナ議会の人権委員を務めるリュドミラ・デニソバ(Lyudmyla Denysova)氏は、暫定的な情報によると「多くの医療機関で100人以上の新生児が親を待っている」と述べた。

■人気の地

 欧州連合(EU)およびロシアと国境を接し、世界で最も貧しい国の一つであるウクライナは、その法的枠組みと価格の安さから、代理出産で子どもを授かろうとする親にとって人気の地となっている。

 他の欧州諸国と異なりウクライナでは、異性同士の夫婦は代理母の利用が法的に認められている。

 だが、ウクライナは、新型ウイルスの感染拡大を阻止するため3月半ばに国境を封鎖し、航空便も停止した。外国にいる親が入国するには、自国の大使館経由でウクライナ政府から特別な許可を得る必要がある。

 デニソバ氏は、責めるべきは両親への支援を「拒否する」各国の大使館だと指摘する。ウクライナ政府筋は、支援を拒否しているのは商業的代理出産を禁止するフランス、スペイン、イタリアなどの大使館だと述べている。

 バイオテックスコムは4月下旬、赤ちゃんの様子を収めた動画を公開。関係各国に対し、自国の国民が自分の子どもたちと会えるよう支援を訴えた。

 動画はメディアとデニソバ氏の関心を引いた。同氏は自国の大使館から支援を拒否されている親について、入国許可を取り付けると約束した。(c)AFP/Ania TSOUKANOVA