【5月28日 AFP】米下院は27日、中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)でイスラム教徒の少数民族ウイグル人が施設に強制的に収容されているとされる問題で、中国当局者への制裁に道を開くウイグル人権法案を賛成413、反対1で可決した。

 同法案はすでに上院で可決されており、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領に送られる。トランプ氏は法案に署名することも拒否権を行使することもできるが、拒否権を行使した場合でも議会は容易に大統領の判断を覆すことができる。

 人権団体は、新疆ウイグル自治区ではウイグル人やチュルク諸語を話すその他のイスラム教徒少なくとも100万人が強制的に収容され、現代では他に例のない大規模な洗脳が行われているとしている。

 法案は米政権にウイグル人などの少数民族への「恣意(しい)的な拘束、拷問、嫌がらせ」に責任を負うべき中国当局者を特定し、資産の凍結と米国への入国禁止という制裁を科すことを求める内容。

 法案は特に新疆ウイグル自治区トップの陳全国(Chen Quanguo)共産党委員会書記を名指ししている。以前チベット自治区(Tibet Autonomous Region)で役職に就いていた陳氏は、政府に反抗的な少数民族の弾圧で知られている。

 法案の最終版は、新疆ウイグル自治区についての秘密報告書の作成を米情報機関に求めている他、ウイグル系の米国民と米居住者を対象に中国が行っている活動についての調査も連邦捜査局(FBI)に求めている。

 中国は当初、大規模な収容をしていないと主張していたが、後に施設はイスラム過激主義を抑えるための職業訓練センターだと説明するようになった。

 昨年12月に、ウイグル人の大規模監視に使われ得る技術の輸出を禁じる、今回可決されたものより強硬な内容の法案が米下院を通過していた。与党共和党が多数を占める上院で、全会一致での可決を目指して技術輸出に関する条項が取り除かれ、この問題は中国との間で長く続いている貿易戦争の中で扱われることになった。(c)AFP/Shaun Tandon and Michael Mathes