【5月27日 AFP】(更新)フランス政府は27日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療に抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を使用することを禁止する新たな規制を導入した。同薬剤は、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領がコロナ予防として先に服用を公表した薬剤だが、有害となる恐れもあるとして論争が起きている。

 仏国内の2つの諮問機関と世界保健機関(WHO)は今週、複数の研究により同薬剤に危険性があることが示されたと発表。

 新型コロナウイルスの流行対策が急がれる中、一部の医師らは関節リウマチなどの治療に使われるヒドロキシクロロキンを、その使用効果を証明する研究が十分に行われていないにもかかわらず、患者に処方し始めていた。

 仏南部マルセイユ(Marseille)にある地中海感染症大学病院研究所(IHU-Mediterranee Infection)のディディエ・ラウルト(Didier Raoult)医師もその一人。トランプ大統領はラウルト氏の意見に注目し、COVID-19の予防策として同薬剤を服用していると先週発表して、自身の政権内にも衝撃を与えた。

 仏政府が導入した新規制では、新型コロナウイルスへの効果を試すための臨床試験としてのみ、ヒドロキシクロロキンの使用が許可される。これにより、ラウルト氏が勤務先の病院で同薬剤の投与を続けられるかどうかは不明となった。

 英医学誌ランセット(The Lancet)は先週、ヒドロキシクロロキンと、同じく抗マラリア薬のクロロキンについて、COVID-19患者への投与で死亡率が高まる恐れがあるとする包括的な研究論文を発表。ラウルト氏は、この研究結果を受け入れない姿勢を示している。(c)AFP