【5月27日 AFP】新型コロナウイルスの影響でマスクの製造が増加したことにより、中国では同じ素材が使われているおむつやウエットティッシュ、生理用ナプキンなど思わぬ製品が打撃を受けている。

 これらの製造者によると、不織布などの布がより利益が高いマスク製造に流用されるようになり、供給が不足。衛生製品の製造業者は見捨てられた状態になっているという。

 一部の企業は生産の半減や値上げを余儀なくされており、業界は将来の供給に懸念を示している。

 おむつを製造する福建省時代天和実業有限公司(Fujian Time and Tianhe Industrial Co)の黄騰竜(Huang Tenglong)副社長は、「製造能力がないわけではないが、コストが非常にかかる」と説明した。同社長によると、1月の時点でおむつ製造に必要な原材料の価格は約1万3000元(約19万5000円)だったが、マスク需要の世界的急増により価格は一時14万〜15万元(約210万〜226万円)にまで達したという。

 従業員約400人の同社では、おむつの生産を半減させ、製品の種類も減らし、最大20%の値上げを実施した。黄氏は同社が生産する衛生用品について、「最終的には、主要事業を失う可能性もある」と述べた。

 中国青年報(China Youth Daily)によれば4月4日時点で、中国国内でマスク製造を手がける企業は約6万9000社だった。新型コロナの影響で武漢(Wuhan)が封鎖され、流行阻止のため全国的に厳しい制限が課されるようになった1月25日以降にマスク製造に参入した企業が、このうち1万9000社を占めている。

 一方、業者は需要を満たすのに苦労している。

 おむつメーカー、福建新億発集団(New Yifa Group)の沈盛元(Shen Shengyuan)副社長は、中国国外の供給にも影響が出るのではないかと懸念を示している。同社ではマスク以外の製品の約半分が海外向けだったという。顧客から生産増加の要請があるが、「製造できない状況だ」。

 沈氏はAFPに対し、「地元政府が流行対策となる主要素材に製造をシフトするよう要請しているとサプライヤーは言っており、サプライヤー側にも十分な理由がある」とし、「われわれの製造能力に問題はない。問題はサプライヤーと中国全体の産業チェーンにある」と指摘した。(c)AFP/Beiyi SEOW