【5月27日 AFP】インドの西部と中部に襲来したバッタの大群が、1993年以来最大の被害を農作物に与えており、当局は26日、ドローン追跡などを用いた対策強化に乗り出した。

 バッタはすでに約5万ヘクタールの農地に打撃を与えており、その追跡と殺虫剤散布のためにドローンやトラクターなどの車両が派遣されている。

 AFPの取材に応じた政府のバッタ対策機関幹部、K・L・グルジャール(K.L. Gurjar)氏によると「ラジャスタン(Rajasthan)州とマディヤプラデシュ(Madhya Pradesh)州で、8~10の大群がそれぞれ1平方キロ四方にわたって」活動している。

 バッタは両州の農作物に甚大な被害をもたらしており、新型コロナウイルス流行による厳格なロックダウン(都市封鎖)ですでに苦境にある多くの農家に打撃を与えている。

 ラジャスタンの州都ジャイプール(Jaipur)の住宅地区では、バッタの群れに囲まれた住民らが、鍋やフライパンでバッタを追い回す姿もみられた。

 またインド全土の他の州でも、これよりも小規模な群れが活動しているという。

 国連食糧農業機関(FAO)によると、400万匹のバッタの群れ一つで、3万5000人分の食糧に匹敵する作物を食べてしまうという。

「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれるアフリカ北東部から襲来したこのバッタの大群は、4月に隣国パキスタンの農業地帯を壊滅させた後、ラジャスタン州に進入した。6月にはさらに大きな被害が予想されると当局は警告している。

 国連(UN)によると今年はアラビア半島(Arabian Peninsula)における大雨とサイクロンにより、かつてないほど大量のバッタが繁殖し、群れの規模が急速に拡大したという。(c)AFP